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第62回 日本薬学会・日本薬剤師会・日本病院薬剤師会中国四国支部学術大会 ポスター発表

保険薬局における新型コロナウイルス感染症に関する問い合わせの調査

スター薬局大野原店 浦上勇也

【目的】保険薬局は、かかりつけ機能に加えて地域住民の健康の維持・増進を支援する「健康サポート機能」が求められているが、その機能が十分に発揮されていない。特に新型コロナウイルス(コロナ)禍においては、保険薬局が患者および地域住民の相談窓口としての役割を担うことが期待されている。本研究では、保険薬局における患者からの問い合わせについて、かかりつけ薬局機能の評価指標(KPI)を用いて、KPI薬局群と非KPI薬局群に分類し比較、検討した。

【方法】対象は、2021年6月から11月の間に、香川県内の保険薬局10店舗に処方箋を持参した患者とした。患者からの相談内容を、「薬」「健康」「コロナ」「その他」の4項目に分類し、「コロナ」に関しては、「発熱対策」「コロナワクチン」「薬とワクチン」「疾患とワクチン」「検査キット」「その他」の5項目に分類し、相談件数をKPI薬局群と非KPI薬局群で比較した。

【結果】合計相談件数は、KPI薬局群854件、非KPI薬局群266件であった。相談内容のうち「健康」に関する割合は、KPI薬局群で438件(51.3%)と非KPI薬局群の59件(22.2%)と比較して多かった。「コロナ」の相談件数は、KPI薬局群で60件(7.0%)、非KPI薬局群で32件(12.0%)であり、相談内容のうち両群ともに「発熱対策」が最も多かった。

【考察】本調査では、KPI薬局群が非KPI薬局群に比べ、「健康」に関する相談が多いことを明らかにした。また、両群ともに様々なコロナに関する問い合わせを受けており、患者は保険薬局に対してコロナに関する正確な情報や適切な指導を求めていることが示唆された。コロナに関する適切な情報提供や相談窓口としての役割を担うことが、今後、保険薬局がかかりつけ機能、及び健康サポート機能を発揮していく上で重要である。

当薬局のターミナル医療における無菌調剤の実施と今後の課題

スター薬局堀江店 名倉縦子

【目的】当薬局は、令和2年2月に開局し、開局当初から無菌調剤が可能なクリーンベンチを導入している。また、かかりつけ薬局として、24時間対応や在宅医療への対応など地域包括ケアシステムの一助となるよう活動してきた。今回、関連医療機関に無菌調剤が可能であることを周知することで、実際に無菌調剤の実施につながったので報告する。また今後の課題についても検討した。

【方法】当薬局は、在宅訪問依頼を受けているクリニックや診療所を訪問し、無菌調剤が可能なクリーンベンチが設置されていることを周知し、終末期医療の一助となれるよう準備を行ってきた。その中で、在宅訪問医からターミナル患者の処方を受けることになった。まず、グループ店舗で麻薬の無菌調剤を実施している薬剤師に研修を受け、知識と技術を習得した。無菌調剤を行うにあたって、無菌調剤の規定を確認し、麻薬の管理台帳やマニュアルを整備し、シリンジや注射針、消毒液、衛生キャップ、ガウンなどの準備を行なった。また、初回の調剤については経験豊富な薬剤師2名に当薬局に来てもらい、調剤手法を確認しながら慎重に行なった。

【結果】実施された調剤

Rp モルヒネ塩酸塩注射液50mg1%5ml 3管

(大塚生食注135mlと共にPCAポンプの薬液カセットに混注、)

モルヒネ塩酸塩1mg/ml

投与速度0.5ml/hで持続皮下注、ボーラス投与0.5ml/回、ロックアウトタイム:30分

モルヒネ塩酸塩1日持続投与量12mg/ 日 医師の指示通り 1回分

Rp 大塚生食注20ml 7管 医師の指示通り 1回分

当薬局にて計5回処方調剤された。退院後42日後に永眠された。

【考察】現在では、終末期を在宅で過ごすことが可能となっており、麻薬や無菌調剤の依頼には迅速に対応する体制を整える必要がある。処方される時間によっては、麻薬の入手が困難な場合もあり、グループ店舗との情報共有が必要と考える。今後の課題としては、他の製剤の技術習得や、地域の医療に貢献するためにも他職種とのコミュニケーションを築いておくことが必要であると考える

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