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- 活動報告 -
おもしろ科学教室

昔の薬局は、「街の科学者」だったと聞いたことがあります。どうもこの数十年で薬局のイメージは大きく変わったようです。私が薬学部を卒業した20年前は、医薬分業が進行中で、病院や医院の横に調剤薬局がどんどんできているときでした。そして、いつの間にか「薬剤師=医師に処方箋に従って調剤する人」「薬局=処方箋を持っていくところ」といったイメージが定着してました。
患者のための薬局ビジョンでは、「門前」から「かかりつけ」、そして「地域」へということで、これからは健康サポート機能が求められています。簡単に言うと、地域住民の方々から頼りにされ、気軽に健康についての相談を持ちかけられるような薬局(存在)にならなければならないということです。結果的に求められているのは昔の「街の科学者」のような存在であり、まさに原点への回帰と言えます。

今回実施した内容を一部紹介しますと、

・ヨウ素でんぷん反応:米、パン、ジャガイモなどに、ポピドンヨード(ヨウ素)を滴下し、色の変化を見て、でんぷんが含まれているかを確認する。

・シャーペン電球:シャーペンの芯をフィラメントの代わりに使い、乾電池をつないで電気を流すと明かりが灯ることを確認する。

・水と油と氷の実験:水に油を入れて分離する様子を見て、そこに氷を入れる。下に水、上に油の層に分かれ、氷は真ん中で浮かぶ様子を確認する。ガラス棒を入れると、油の層ではガラス棒が消える。光の屈折が同じなので。

・ペットボトル水族館:魚に見立てたしょうゆ入れをペットボトルの中に浮かせて、ペットボトルを握ることで浮力の変化で浮き沈みする様子を確認する。
そもそも科学とは何か?を、子供にも分かるように噛み砕いて言うと、「なんで?と考えること」なのではないでしょうか。昔の偉人たちは、「なんで?」という疑問を解いていくことで偉大な発明を残してきたのではないかと思います。小さな子供たちは何でも「なんで?どうして?」と聞いてきますよね。大人になると「当たり前」と捉えがちですが、子供たちは好奇心が旺盛なのです。だからこそ、いろいろな科学体験は、子供のころにしておくことが重要なのだと思います。

今回の科学教室を通して、子供たちの興味津々な顔、驚いた顔、そしてキラキラと輝く眼を見て、やって良かったと思いました。また、科学や実験に興味を持ち、薬局や薬剤師に親しみを持ってもらうきっかけとなったのではないかと思います。そして、将来、その中から薬剤師を目指してくれる子供たちがいることを期待したいと思います。

令和元年7月22日四国新聞朝刊

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